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グローバルのヒント

Indo Watcher

2021年2月12日

足りない言葉、多すぎる言葉

一生懸命に話しているのに上手く伝わらない、相手の話が正確に理解できない、という事態は日本人同士でも起きますが、特にインド出身の方とビジネスをされている場合はこうしたケースが多いかもしれません。

 

インド人と仕事をした人からは「説明が長くて要点をつかみにくい」という声をよく聞きます。一方でインドの方からは「日本人の説明は不明瞭で分かりづらい」という意見を耳にします。

 

アメリカの文化人類学者エドワード・T・ホールが著書『Beyond Culture(文化を超えて)』で世界中の言語コミュニケーションの型を「高文脈文化」と「低文脈文化」に分けましたが、上述のコミュニケーション問題はこの分類で説明できます。

 

日本語は「高文脈文化」の最たるものとされ、「コミュニケーションは言葉以外に状況や文脈でも情報を伝達する」という特色があります。それに対し、インド人の言語は「低文脈文化」に分類されます。コミュニケーションは言葉に基づいており、伝達される情報は言葉ですべて提示されるのが特徴です。

 

つまり、日本人は共通認識があることを前提とし、少ない言葉で多くを伝える習慣があります。そのため、主語が抜けていたり説明が要らないと思われる情報は省略したりします。

 

逆にインド人は情報を伝える際、細かい情報を省かず言葉を駆使して物事を説明します。内容がとても長くなる傾向があるのはそのためです。こういった理由からお互いの説明がわかりづらいという問題が起きています。

 

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文化や習慣として身に付いていることを変えるのは並大抵ではありません。異文化間の話し合いでは相手のことをしっかり理解し、情報が伝わっているのか、理解されているのかが確認できるまできちんとコミュニケーションを心掛けることが非常に重要なのです。