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グローバルのヒント

木暮知之のインサイト

2025年1月10日

イマーシブ研修の進め方とは?

キャラクターへの造形を具体化(肉付け)し、設定に基づいた行動を実際にとることで参加者がその人格へ没入しやすくなるのが、イマーシブ研修の特徴のひとつです。今回はキャラクターの人格に基づいて行動すると、研修がどのように進むかについて、説明します。

キャラに任せる

結論から話すと、キャラクターによる話の進め方は「ほぼ自由」です。行動を制限しないことで、キャラへ没入しやすくさせます。動き方に「縛り」を設けると、参加者はどうしてもそれを意識してしまいます。いきなり「好きなように動いてください」と言われても、初めての人は戸惑いますから、必要最低限のルールは決めます。それはキャラごとに設定された目標を達成しなければならない、ということです。あなたが担当するキャラクターは、そこでどういう結果をもたらすことがゴールなのか。何を成し遂げたいのか。各自の目標達成のために動くのです。そのルールや行動原理が徹底されていれば、どのように話が展開しても大丈夫です。

最小限の設定が最大限の学びにつながる

ほかの参加者にも用意されたシナリオや台本はありません。条件は全員同じです。キャラに没入しながら、それぞれが目標(ミッション)を遂行するために動きます。相手の出方を見極め、自分に有利な状況をいかに作り出すか。押したり引いたり、なだめたりすかしたりといった硬軟を織り交ぜた交渉術や駆け引きが求められる場面も出てきます。自分の発言や行動がきっかけで思わぬ展開を見せることもありますが、それもイマーシブ研修の一部。さまざまな状況で臨機応変に対応するスキルが鍛えられます。現実の生活も想定外の出来事の連続。思い描いた通りに進むことは滅多にありません。突発的な事象への対応を求められる研修の方が実践的なスキルが身に着きます。リアルな設定とスリリングな展開。その状況でどう立ち回るか。窮地を乗り越えた経験は記憶に残り、研修参加者にとっての「生きた学び」につながるのです。