グローバルのヒント
木暮知之のインサイト
イマーシブ研修で「他者」になってみませんか。
「なんでこんなこと聞くんだろう」「どうしてあんなやり方にしたのかな」「そんな話じゃなかったけど」――。目の前にいる相手は何を考えているのだろう。ビジネスの世界をはじめ、人生とは思いがけぬ場面や考え方が異なる他者との遭遇の連続でもあります。コミュニケーションの行き違いも、相手との認識の違いから起こることがほとんどです。そうしたギャップを少なくするには、どうすればよいかを考えてきました。その鍵の1つが「相手を知ること」です。他者を知るには、他者になってみることが一番。相手の視点を持つことで見える世界があります。
とは言え、自分以外の人の視座を得るのは簡単ではありません。相手の性格やその人が置かれた立場を理解する必要もあるでしょう。もっと言えば、生い立ちが人格形成に影響を与えているかもしれず、その人生を追体験するわけにもいきません。そこで、他者に成り代われるほどの濃密な体験ができる場を提供することを思いつきました。他者になってみることで相手の考え方や行動原理に思いが至り、相手の存在そのものをリスペクトしたコミュニケーションが身に着きます。それが人材育成プログラム「イマーシブ研修」です。
イマーシブとは英語で「没入している、のめり込んでいる」という状態を表す言葉です。没入する対象は自分ではない他者、その人格です。この研修は、仮想空間の登場人物として役割を与えられた参加者が一定の時間内での目標達成を目指すリアル体験型プログラムです。自分以外の人物に成りきってもらうことで、その人のマインドセットや思考回路を理解できるだけでなく、他者へのリスペクトを前提としたコミュニケーションスキルを磨くことができます。どのように他者に成りきることができるのか、次回は具体的な特徴について説明します。